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「採用をめぐる法的リスクと実務対応 ~トラブルを防ぐための実践的ポイント~」専門講座レポート
みなさん、こんにちは!(^^)/
人事プロデューサークラブの広報担当、人事の妖精・じん子ちゃんです!
始まりましたね、新年度!!
電車の中や街中で、真新しいスーツに身を包んだフレッシュな若者の姿を見かけるこの季節、じん子もちょっぴり背筋を伸ばしたくなります。
新しい環境がスタートした時、ワクワクの半面どこか不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今朝のTVでも「人の名前を覚えるのが苦手で…」という方のインタビューがありました。
そんな春、まず、基本はあいさつですよねっ。
普段より2割増しの笑顔と声のトーンで、明るくあいさつをしてみてはいかがでしょう?
オンライン会議スタート時の「お疲れ様です」も、普段よりちょっぴり大きな声を出してみるのもいいかも(笑)
「おはようございます」「お疲れ様です」「ありがとうございます」
明るく元気なあいさつって、自分も周囲もHappyになれますよね。
普段はだる~いあいさつをしがちなじん子ですが(汗)、この季節はしゃきっと、元気に、明るく、あいさつしていきたいと思っています!
≪ 新年度も人事プロデューサークラブをよろしくお願いいたしまーす! ≫
さて今回は、3月25日に開催された、弁護士・岩崎先生の専門講座のレポートをおとどけします。
〓〓〓〓〓 2025年3月25日(火)開催 専門講座 〓〓〓〓〓
テーマ
「採用をめぐる法的リスクと実務対応
~トラブルを防ぐための実践的ポイント~」
講師: 楠・岩崎・澤野法律事務所 弁護士 岩崎 通也 先生
■ 岩崎先生と人事プロデューサークラブ
実は岩崎先生、現役弁護士でありながら、人事プロデューサークラブの会員として、みなさんと一緒に人事の学校などで学ばれていたことがあったんです。
2010年6月10日に開催された、第15回事例研究会でも、発表者としてご登壇いただいているんですよ。
法律の専門家としてのご多忙な毎日の中、クライアント企業からの人事・労務関連での相談に、より的確なアドバイスができるよう、こうした場で学びを深められる岩崎先生、素晴らしいですよね!
■ 今回のテーマ「採用をめぐる法的リスク」について
事前に岩崎先生より、「入社後のトラブルを未然に防ぐための実務対応について解説します」というテーマをうかがっていました。
「面接でのNG質問」や「リファレンスチェック」についても、採用担当の方は気になるところですよね。
岩崎先生「最近、採用ミスマッチに関する企業様からの相談が増えてます。今回は、『法的な根拠がどこにあるのか』にもスポットを当てて、お話しさせていただきたいと思います」
では、先生、よろしくお願いいたします!!
■ 採用の自由とは?
採用担当者がまず知っておくべき「採用の自由」の概念は、いくつかに分類できます。
今回は「採用の自由」を5つに分けて、それぞれの注意事項についてご説明いただきました。
その中の1つ「調査の自由」について、ご紹介しますね。
採用に至る前に、応募者の調査をすることで、個人情報保護法やプライバシー権などに抵触しないよう、どのようにすればいいのか、注意が必要になりますよね。
しかし、「採用の自由」とは、とかく労働者の権利にウェイトが置かれがちな雇用後の労使関係の前の段階で、使用者側が自由に行使できる数少ない権利であるので、最大限に活用すべきとのことです!
■ 採用における差別の禁止について
・うちの会社は、女性は採用しません
・20代~30代の人しか欲しくないんです
・障害のある人はごめんなさい
…今の世の中ではNGとされるケースが多いですよね。
しかし、厚労省のガイドラインでは、例外とされる事例もあり、しっかりチェックしておくことが大切です。
例えば、
・この業務は身長170cm以上の人しか担当できません
岩崎先生「女性で170cm以上の人は全体の3%ぐらいだと聞いています。なので、この要件だと間接的に女性を除外していることになりますね。こうした事由による不採用は、合理的な理由がない限り、違法となります」
・うちの会社は頻繁にアメリカと行き来することがあります
岩崎先生「この場合、例えばイラン国籍の人だと入国ができないので、『国籍によっては採用できない場合』に当たり、法律上の問題はありません」
このような事例をいくつかご紹介いただきました。
(ただし、募集条件内で明示することは避けた方がいいようです)
■ 募集活動における労働条件の明示
続いて、昨年(令和6年)4月1日に改正された「労働条件明示のルール」についてレクチャーいただきました。みなさん既に運用済みかと思われますが、もう一度おさらいしておきましょう。
リーフレット「改正の内容について」 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001298245.pdf
岩崎先生「中途採用のオファーレターを出している場合は、そちらに記載した労働条件と実際の条件の間の違いについて説明をする必要があります」
■ 面接でこんなことを聞かれたこと(聞いてしまったこと)、ありませんか?
岩崎先生より、東京都労働局が <求職者の方に> 出しているリーフレットをご紹介いただきました。
「きょうだいは何人いるの?」
「家族のお仕事は?
「愛読書は?」
「尊敬する人物は?」
このリーフレットによると、もし上記のような質問をされたら、
「最寄りのハローワークに相談しましょう!」
と記載されています。
(大学生の方は「新卒応援ハローワーク」へ)
岩崎先生「こういったところに通報されるだけでなく、SNSで『こんな質問をされてしまった』などと拡散されるリスクもあります。世間話の流れで軽く聞いてしまうことのないよう、注意が必要です」
複数の判例より:「必ずしも業務に関係のない感染歴(HIV、B型肝炎など)を聞いたり、無断で検査を行ったりするのも、違法になる可能性が高いです」
■ 以下の問題を考えてみよう!
ここでみなさんに質問です!
Q1
選考に残った応募者の、SNSの裏アカをチェックすることは、適法でしょうか?
Q2
レファレンスチェック(前職での勤務状況調査)を適法とする条件とは?
Q3
「内々定」と「内定」の違いは?労働契約はどこから発生する?
Q4
当初半年を予定していた試用期間が半分過ぎた3ヶ月目に、解雇を言い渡すことは可能ですか?
☆Q1のヒント☆
岩崎先生「最近、SNSから情報収集することは可能か?というご相談を受けることがあります。こちらも、職安法と個人情報保護法の両方を勘案し、以下の2つを分けて考える必要があります」
① 本人が投稿しているもの
② 第三者が投稿しているもの
ご存知の方も多いかと思いますが、再確認してみましょう!
(人事プロデューサークラブ会員の方は、ぜひアーカイブで回答をご視聴ください)
■ さいごに
その他、今回は「内定通知書に明記すべきこと」「入社時誓約書の留意点」など、すぐに実務で参考になる事柄を、実際の他企業での判例をもとに、複数ご紹介いただきました。
そして講座の最後に岩崎先生より、「何かご質問がありましたら、アンケメールなどでお気軽にご相談ください。もちろんお金はいただきません(笑)」とのお話しがあり、3名の方より実際の業務で起こった事例についてのご質問をいただき、それに対しても後日非常に丁寧なご回答をWordで頂戴いたしました。本当にありがとうございます!
<参加者アンケートより>
・ケーススタディが実務に当てはまり参考になりました。弊社の採用課員やリクルーター育成に活用させていただきます。
・採用面接時の留意事項について(役立つ部分があった)
・レファレンスの在り方が参考になった
・内定取消についてのお話しが特に勉強になりました。
・入社前のリファレンスチェック、バックグラウンドチェック(犯罪歴調査)ついて学ばせて頂ければと思いましたが、より広範な内容で多くの学びがありました。ありがとうございました。
<役立つ資料>
今日の講座で岩崎先生よりお話のあった、役に立つリーフレットを2つご紹介しますね。
1.「採用と人権(明るい職場を目指して)」 東京都
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/shiryo/saiyou-jinken/index.html
(都内労働相談情報センターでも入手できます)
2.「公正な採用選考をめざして」 厚生労働省
https://kouseisaiyou.mhlw.go.jp/document.html
どちらも上記URLから資料のダウンロードが可能です。
ぜひ人事部門のみなさんで共有してください!
岩崎先生、今回もためになる講座を、ありがとうございました!!