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組織開発は対話から!- 事例研究会レポート
みなさん、こんにちは!(^^)/
人事プロデューサークラブの広報担当、人事の妖精・じん子ちゃんです!
今日が回答締め切りの「国勢調査2025」、みなさんもう提出されましたか?
じん子は先週Webから回答しちゃいましたよ!( ̄ー ̄)b
5年に1度行われるこの調査、調査結果やそれを基にした将来予測から、人事担当者が押さえておくべき項目がたくさんあるんじゃないかなと感じています。
たとえば、2015年から2020年の5年間で「約94万人の人口減少」や「15歳未満人口の割合が12.6%→11.9%に低下」というデータから、労働力の母集団縮小を前提にした採用戦略設計が必要になることがわかります。
また、「都市圏への人口集中」「夫婦共働き世帯の上昇」「単身世帯の増加」なども気になりますよね。
これらの人口動向(予測)をふまえ、
・新卒中心採用→中途/キャリア採用強化
・地方採用、リモート拠点やサテライトオフィス設置
・シニア人材、外国籍人材の活用
・社員のスキル再構築(リスキリング)
・柔軟な働き方に対応できる制度設計
などの施策に取り組まれている企業様も多いのではないでしょうか。
こうした国勢調査データや地域別人口データを定期的にモニタリングすることも、2030年~2050年を見越した中長期の人事制度や組織改革に必要ですね!
さて、今回の「人事プロデューサークラブ通信」は、9/26に開催された事例研究会「安全自動車のより良く組織変革」のレポートをおとどけします。
創業100年を超える老舗企業の組織変革への取り組み、”これから老舗になっていく”ベンチャーの担当者様も、ぜひごらんください。(^^)
※「なるほど国勢調査」PDFデータはこちらから
https://www.kokusei2025.go.jp/real/naruhodo.pdf
大正9年では18%ぐらいだった男性25-34歳の未婚率、令和2年では…((;゜Д゜)!
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『安全自動車は、しちごさん』 ツカミはバッチリの会社紹介
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冒頭、ご発表者の中谷さん(安全自動車・副社長)から、「安全自動車は七五三」という言葉を教えていただきました。
中谷さん「弊社は設立が大正7年5月3日で、”七五三”と、非常に覚えやすいんです。これ、一度聴くと頭から離れないと思います(笑)」
そして、安全自動車さんの創業者(中谷さんの曽祖父)のお誕生日も11月15日と、これまた”七五三”だそうで…
はい、じん子もしっかり覚えました!( ゜∀゜)
こんな感じで「ツカミ」はバッチリ、中谷さんのご発表がスタートです。
(事前メッセージより)
「大正時代から続き、創業より100年を超える老舗企業の安全自動車。
安定した経営を続ける一方、組織のコミュニケーション面に課題を感じていました。そこで『働きがいのある職場づくり』を目指し、まずは社員の不安や不満をキャッチアップすることに。
そして行ったのが2010年から始まった全社ヒアリング。
その全社ヒアリングにより、2015年から安全自動車の組織変革への取り組みが始まりました」
2028年の創立110周年を目前に、国内26拠点(海外5拠点)を抱える組織となった安全自動車さん、その人財育成・組織開発のチャレンジを、早速見ていきましょう!
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自己紹介は15分 安全自動車のユニークな新人研修
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この日、中谷さんの自己紹介もいただきました。
安全自動車の創業家に生まれ、自民党本部の目の前にある永田町幼稚園出身(奥様も同窓生)で、小学校から大学まで野球や陸上に取り組んだスポーツ少年だった中谷さん。
現在は3人のお子さんを持つお父さんであり、4代目社長であるお兄様を支える副社長というポストに就かれています。
中谷さん「こんな感じの自己紹介、というかストーリーテリングを、うちは新人研修の時から4回ぐらいやってもらいます。最終的には大体1人15分かけて、安全自動車に出会うまでのストーリーを語ってもらうんです」
自分のこれまでの歩みを他者に15分話す。これ、簡単にできるようで、なかなかうまくできないですよね。特にまだ20代前半の新入社員にとっては、結構な難題かも?
中谷さん「自己紹介ってなんとなくでもできちゃうんですが、きちんと自己開示をすることで、お互いの距離感を縮めて関係性を変えることもできる、非常に大きなツールだと思って、弊社では大切にしています」
実際、この研修を通じて新入社員同士の距離がぐっと縮まり、お互いを慮る関係が構築できているといった事例もあるそうです。
じん子も「自己開示をする15分」、頭の中でシミュレーションしてみようかな?(゜ー゜)
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全社員が対象の「キャリアヒアリング」~組織開発のはじまり~
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まず、安全自動車さんが2010年から開始した「キャリアヒアリング」について。
2年ごとに全社員(派遣社員、パート社員、嘱託社員も含む)を対象に行われます。
今回の事例研究会では、そのヒアリングシートの内容や実施フローも共有いただきました。
実際にそのヒアリングで上がった意見(コメント)の一部をご紹介。
・○○さんがやる気がなくなっている。何とかして欲しい。
・地方拠点のようにマーケット条件の厳しい拠点で自分のチカラを試してみたい。
・ウチの所長と○○さんが半年くらい会話をしていない。
・早く本部で働いてみたい!どうすれば行けるのか?
・社員旅行を復活して欲しい。
など、社員の方がざっくばらんに本音を打ち明けてくださいます。
ヒアリング後は、もちろん検証も行います。
そこで「気づいたこと」を9点、ご紹介いただいたのですが、じん子が特にはっとさせられたのが、
・本部が手を抜いているところは、見事に伝わっていない。
・話を聴くだけで、解決することもある。
・世の中のトレンドではなく、社内のトレンドをつかむことが出来る。
といった点です。
中谷さん「このヒアリングが2年に一度なのは意味があるんです。まず海外拠点も含め、全社員に会いに行くと、それだけで1年かかってしまいます。次の1年はその改善点を制度に移し、改革を始める年なんです」
スタートした2010年、当時300数名だった社員から、1000項目を超える課題を受け取った中谷さん。
丁寧なヒアリングとその検証から、組織開発が進んでいきます。
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”ギャップを埋めていく” 中谷さんのアプローチ
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「何から手をつけていいかわからない」ほどの課題が浮かび上がったヒアリング後、人生で一番勉強したかも…とおっしゃるほどあらゆる本を読み、各種セミナーにも積極的に参加された中谷さん。
その頃、「ありたい姿と現状とのギャップを埋めていく、ギャップアプローチ」の手法に出会います。
そして、2014年からは、
「リーダーの育成とマネジャーを中心とした対話によるリレーションシップ再構築」
のプロジェクトをスタートさせます。
この間、1on1ミーティングやカルチャーの醸成といった点で、正直「コケた」と思われる施策もいくつかあったそうです。
そうした失敗事例を振り返りながら、「なぜリレーションシップが課題なのか」を考えつつ、課題解決のための実施事項を1つ1つ組み立てていきます。
<ご発表資料より>
プロジェクトを推進する上で、最も配慮しなければならないことは現場のマネジャーやメンバーに、“これは面白そうだな”であったり、“よし、やってみよう!”と思ってもらうこと。
どんなに有効な施策を企画したとしても、現場サイドでその運営が自走していかなければ、浸透しない。
・経営には成果が出ないな。
・マネジャーには忙しいのに意味がない。
・メンバーには、何かやっているけど余計に忙しくなるだけ。
という思いが蔓延しないように、できるだけ早いタイミングでプロジェクトの成果を出さなければならない。
2016年に失敗したと思われた1on1ミーティングも、新型コロナ禍でのオンラインツールの導入が誘い水となったことで再構築でき、今ではなくてはならない施策となっているそうです。次の項で詳しくご紹介しますね!
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「より良く」を目指す、3つの取り組み
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こうしたさまざまな試行錯誤を経て、安全自動車様が「より良く」のキーワードで実施されているテーマがこちら。
① 12ヶ月のプログラム 「より良くフォーラム」
部門を越えてリーダーたちが集まり、将来の安全自動車に、今自分たちが何をすべきかを語り合う。
② 月1回開催 「より良く会議」
同じ部門のリーダー全員が集まり、最高の職場を創り上げていくために自分たちが何をすべきかを話し合う。
③ 月2回開催 「1on1ミーティング」
チームに対して、どんな貢献をして、自身もどのように成長していきたいのかをリーダーメンバーで導き出す。
こうしたプログラムから、“個人の成長”と“組織の成長”がともに実現することを目指す中谷さん。
2023年からは「より良くフォーラムラーニングジャーニー」という合宿型研修(専門家の話を伺い、参加メンバー同士の対話を行う)を、北海道美瑛町、福島県郡山市、静岡県熱海市などで開催しています。
最初にお話しいただいた「15分の自己紹介」や「1on1ミーティング」、そしてこの「ジャーニー」と、とにかく「対話を大事にする」「傾聴力の高い」安全自動車様のカルチャーで、次世代のリーダーが組織をけん引していく未来がイメージできました!
最後に、ご発表資料から、中谷さんが「今後の取り組みについて」の中で挙げられている「社外の方々との学び合い」のメッセージを。
「安全の取り組みには、多くの企業の皆様にオブザーブ参加をしていただいております。VUCAワールドと言われる昨今の外部環境の中で、わたし達は何ができるのかを常に探求しております。社会変革の一助となれるような取り組みを皆さんと一緒に進めて行けたら幸いです!」
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参加者の感想と、懇親会レポート
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<参加者アンケートより> ※一部抜粋
・とにかく凄いですね! すべては中谷さんのエネルギーが核となり、社員の能力開発、組織開発の成功に導いている、と感じました。施策の1つ1つが深いです。
・失敗事例も含め、超実践的なケースを拝聴できた。貴重な機会をありがとうございました。
・組織変革の手法のバリエーションを知ることが出来た。
・苦しそうな事も良い意味で楽しみながら、様々なチャレンジで道を開くお話に大変刺激を受けました。
・自社での取り組みの詳細および、失敗例も具体的にご教示いただき、自社内で取り組む時はどうなるか?どのように工夫すれば良いか?を想像しながらお話を聞くことが出来た。
・ありがとうございました。とても興味深いテーマでした。
----- 懇親会について -----
懇親会は、麹町「フィオーレ」に移動して開催。
中谷さんの情熱あふれるご講演の興奮冷めやらぬまま、ご参加の皆様の自己紹介や悩み相談まで、時間いっぱい盛り上がりました。
中谷さん、ご参加の皆様、ありがとうございました。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回は「戦略人事」についてのプロデューサー講座です!
お楽しみに(^^)/~~~
