tamariba 通信
- HOME
- tamariba
- tamariba 通信
- 人事が2026年に「やるべきこと」は? 特別企画・パネルディスカッションレポート(後編)
人事が2026年に「やるべきこと」は? 特別企画・パネルディスカッションレポート(後編)
■ 更に深堀り!「管理職は罰ゲームなのか問題」
【前編】で、KTゲームチェンジャーズの山田さんから、エプソン販売の青木さんに、「そもそも管理職になりたいと手を挙げる若手の数が減ってきているのでは?エプソン販売さんではどうですか?」という質問がありました。
それを受けて青木さんはこう話されます。
「確かに、若手の社員にインタビューをしたり、じっくり対話をしてみると、課長になりたいという人が減っているという事実はあります。
それは1つの選択肢として、僕は悪いことではないと思うんです。
ライフ(充実)型に重きをおいていきたいという人が、一定数ですが増えているような気がします。弊社はほとんどの職種で在宅勤務が可能であったり、コアタイムがなく、働く時間も本人の裁量に任せているところがあり、若い社員の価値観の変化を、肌感覚で感じています」
この点について、「最軽量のマネジメント」という著書も書かれている山田さん。
※事務局補足 「最軽量のマネジメント」(サイボウズ式ブックス) >> Amazonページ
山田さん「罰ゲームといっても、役員にまでなれるなら、話は違うと思うんです。役員罰ゲームっていうのはあまり聞かないですよね。小さい会社なら部長、大企業なら課長、このへんがすごく罰ゲーム感があるんじゃないですか?残業代はつかないのに役職手当だけで、責任は全部取らされるの?みたいな」
ワークライフバランスを保ちつつ、組織でのステップアップとともに、やりがいも報酬も約束される…。これが理想なんだけどなぁ。エプソン販売さんでは、「管理職が管理職の役割に専念できる」新たな施策も開始されたそうです!
それぞれの役職の役割を軽減するため、情報共有を活性化させ、周囲のサポート体制も変革していく方法は、前述の山田さんの著書に記されているとのこと。ぜひ参考になさってみてください!!( ̄ー ̄)b
■ 社員のキャリア自律支援はできているのか?
須東先生からはまずキャリアオーナーシップの国際比較の観点から、日本のキャリア自立志向の低さをお話しいただきました。
2015年の調査結果で「キャリアは自分が決める」という項目において、日本は45.5%という結果に対し、中国は約70%、アメリカ・インドは70%を超えるという結果が出ています。
須東先生「私は日本の終身雇用制度が足枷になっていると思っています。業務時間内にネットサーフィンで遊んでいるような人にも仕事が与えられてしまうといった環境も問題です。あとは、企業で自律研修をやっていたとしても、《Will・Must・Can》の中でも《Must・Can》しかできませんという企業が多いんです。でも、《Will》なくして何ができるのか、今後70歳まで働くことができるのか、を疑問に感じます」
この問題に対し、現場の人事部門では…
青木さん「今、それはうちでも課題の1つです。例えば、部下がAという仕事をやりたいと思っても、課長にその決定権はなく、希望する仕事に就けるという道筋がないんです。一方、ある職種に人員が偏ってしまうことも避けたいし、弊社は全国に拠点があるので(転勤も)、本人の意志や希望を認めつつもある程度会社からもコントロールしていくべきかなと」
これには、会場参加者のみなさんも大きくうなづいておられました!
そこで、山田さんからは「自律」という語句に立ち返って、
山田さん「《自律》と《自立》は違いますよね。会社が社員に《自分を律してほしい》のか、《1人で立ってほしい》のかで、少し変わってくると思うんです。会社の中でやるべきことをきっちりこなすことができる人を育てるのか、本人がキャリアを積んで外に出て行きたいなら、それを支援してあげようとするのか。まず、誰が何のためにという目的を整理しないといけないなと思うんです」
銀行勤務時代「密室で自分の人生(配属)が決められてしまう」と感じたこともあった山田さん。しかし、サイボウズでは、「あのボスのところで働きたい!」と、社員からアプローチすることもできたそうです。まさに須東先生のお話の ―《Will》なくして何ができるのか― ですね!
山田さん「僕は須東先生のおっしゃった《Will・Must・Can》を、エンゲージメントの3点セット、《Must・Can》の2つをビジネスの2点セットって呼んでいます。その上で、社員には選択肢を増やしてあげることも重要ですよね」
みなさんも、自社に必要な《Will・Must・Can》、考えてみてください!
■ ダイバーシティ&インクルージョンは実現できるのか?
では、いよいよ最後のテーマ「ダイバーシティ&インクルージョンの実現について」です。
須東先生「いろいろな企業の話を聴く中で、ダイバーシティや多様性は広がったけれど、インクルージョンが置き去りになっているというのをよく目にします。インクルージョンらしきことをやっている企業が意外と少ないんですね。グローバル企業ですとタウンミーティングを通じて価値観や指向性が近い人が集まって、ディスカッションをしたり一緒に仕事のプロジェクトを組んだりという動きもあるんですが、日本企業ではなかなかそういうことが少ないですね」
この問題は、日本企業の管理者が、「まず自分が率先してやらない」「他者を巻き込んでいく力がない」タイプの人が多いからだとも…。
青木さん「自分たちを知るという意味で、定量的な目標値を作ることは悪いことではないと思うんです。当社では昨年までの2年間でボードメンバーの年齢が若いとか男性が多いということがあって、社員から手挙げで経営会議に参加できるという施策を行いました。実際に5名ぐらいの人が参加したところ、役員からの発言も全社(全世代)に向けた内容になったなと感じています。一方で、彼らの意見がそのまま経営に活かせたかという点では、まだ反省点がありますね。果たして彼らがあの会議で役員を前に本音を言えたかどうか…」
様々な世代や立場の人が、本音で発言できる場、とても大事ですよね。
そして、山田さんからは「ダイバーシティ&インクルージョンは、何のためにやるかが重要です」というお話がありました。
山田さん「いい人材を確保するには、中小企業こそダイバーシティ&インクルージョンを大切にしていった方がいいんです。経営という観点から考えたら、生産性を上げるためにも女性や外国人や障害のある方にも注目してみてはどうでしょうか」
ここで進行役の四分一が、リクルート時代のお話を。
四分一「私がいた頃もリクルートは、半分が女性でした。当時のリクルートではなかなかいい男性が採用できなかったというのもありますが、女性社員が非常に優秀で成績も良かった。当時《本気で働きたい》と思う女性が行ける会社って、リクルートぐらいしかなかったんじゃないでしょうか(笑)。でも、大卒だけじゃなかなかそんな女性が採用できないんで、短大や専門学校、高卒も採用しました。それってダイバーシティの先進事例だったのかなと感じています」
須東先生「カルロス・ゴーン氏が日産にいた頃、家庭で新車を買う権限が奥さんにあることが多い=女性活躍推進だ!で、女性管理職を増やしたり、新卒一括採用についてどうしてこんなにコストがかかっているのかを即座に現場に問うたりしたことがありました。これまでの社内の思い込みや前例に対して、トップがスピーディに切り込み、なぜそれが必要なのかを議論していくといったことは、非常に重要だと考えます」
最後に、パネラーのみなさまから「人的資本経営」について、まとめの言葉をいただきました。
青木さん:
人事の仕事って、すごく大事な仕事だなと思っています。
いろんなことに人事自身がチャレンジしていくこと、机の上だけでなく現場に足を運び、現場に向き合ってチャレンジしていくことを、これからも続けていきたいです。
山田さん:
流行り廃りに流されず「何のためにやるのか」を考えることが、人的資本経営にも重要だと思います。(中略)もう、人的資本経営って、愚直に現場を見るってことでいいんじゃないかと(笑)。
須東先生:
今日の4つのテーマはそれぞれ非常に重いテーマです。みなさん悪戦苦闘されていることと思います。人事って本当に大切な部門なんです。社員と二人三脚で進んでいくHRBPをどう育てていくか、それが今後課題となっていくのではないでしょうか。
四分一:
今日のみなさまのお話から、当たり前ですが「何のためにやるのか」そこに立ち返ることができました。今日の講座が来年以降のみなさまの人事を考えていく上で、ヒントになれば幸いです。今日はありがとうございました。
■ 暑気払いに続き、Vision Placeでの忘年会!
トークイベント終了後、現地参加のみなさんで懇親会(時期的に忘年会)を開催しました!
会場は、暑気払い同様、KTゲームチェンジャーズ様のセミナールーム「Vision Place」です。
『チームワーク溢れる社会を創る』
チームの一体感を高めるためには理想(Vision)が大事。様々な人やチームが集いVisionを語り合う場所。Vision Placeはそんな場所です!
今回も、美味しいケータリングのお料理とフリードリンクで、お酒も会話もどんどんはずみます。
人事仲間同士、社内では話せないことや趣味の話まで…。
FacebookやLINEでつながったり、なんと、この日参加のメンバーで、来月もまた集まろう!ってことになったそうで!ヽ(・∀・)ノ ♪
まさに「様々な人やチームが集いVisionを語り合う場所」になったんですね!
KTゲームチェンジャーズ様、素晴らしい会場をご提供いただき、ありがとうございました!!
■ 受講後アンケートより(一部抜粋)
・3者の異なる立場から同じ課題について語る話を聴いて、見方や捉え方で変わってくる事が理解できました。実例に基づいた話が勉強になりました。
・人的資本経営というコトバが、流行りコトバのごとく語られていて、「何のために」が?な状態でモヤモヤしていたところに、同じ疑問と答えに触れることができた。
・課題や施策の意義については概ね同じ意見だったため、今のスタンスを継続したいです。
・トレンドと実情、どちらも聞くことがで大変勉強になった。
・改めて「何のために」を大切にする姿勢をもって日々の業務を実践していきたい。
・実際に現場で人事をされている方と、大学の教授と、もともと人事をされていた方と、お三方のそれぞれの切り口で対談されているのが非常に面白かった
・今年を振り返り、パネラーの方のお考え意見が伺えたのと、それぞれの現状が聴けた。
現地/オンラインでご参加いただいたみなさま、3名のパネラーのみなさま、本当にありがとうございました!!
